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2017年5月3日水曜日

「ピアノの恋人」の新刊!

 ここしばらく漫画を描いていなかった喜多尚江の新刊が読める!
 ってだけでも嬉しいのに、それがなんと「ピアノの恋人」の続編! ということで、凄く凄く喜んじゃいました。

 喜多尚江さんは、白泉社(花とゆめなど)で活動していた漫画家さんで、ホームページはここ。やや少年漫画っぽい「真夏の国」や「空の帝国」が代表作だと思います。
 初期は、高河ゆんの初期と似た作風だったと(私は勝手に)思ってますが、高河ゆんが派手な方向に向かったのに対して、喜多尚江は軽快な作風を維持し続けました。
 「銀のトゲ」とか若干シリアスな題材もあったけれど、その軽快さ軽妙さを失わずに漫画を描き続けてた方です。それが、十年ほど前から商業誌では見られなくなってしまってしまいました。

 「ピアノの恋人」は、そんな喜多尚江の中ではちょっと異色作。若干BL風味なのです。ただ、全くエロさはないし、重くもないし、気持ちよく、すっきりと読めるライトなBL。
 私はまあ、重いBLも読むには読みますが、こういう軽くてさっぱりした感じのが、精神状態を安定させるには良い気がします。
 凄く軽く、恋とも言えないくらい軽い雰囲気の話なのに、でもドキッとする場面も多くて、私は一番好きな喜多尚江作品でした。

 そして、今回の新作!
 一応BL誌というせいか、女の子があまり出てこない点はちょっと違いますが、雰囲気はそのまま、絵もほとんど変わっておらず、私としては凄く満足でした! 
 最後まで楽しんで、どこにも止まることなくすらすら一冊読み終えられました!

まだ続きも描いているようなので、続巻も楽しみです。

2016年11月8日火曜日

月の子

 体調が良くない中で読んだ漫画の感想でも。

 しばらくぶりに清水玲子先生の「月の子 MOON CHILD」を読み返しました。清水玲子のマンガは、今連載している「秘密 season0」はまだ購入していないのですが、それ以外は揃えています。
 この「月の子」は「竜の眠る星」の後の二つ目の連載……という位置づけで良いのかな。「輝夜姫」や「秘密」というヒット作はあるものの、清水玲子の代表作といえばこれかなぁ、という印象が私にはあります。

 この作品は、「人魚姫」をモチーフにチェルノブイリ原発事故を絡めた大がかりなファンタジー作品ですが、読んでいるときはファンタジー漫画というより恋愛漫画と感じることが多いかもしれない。どろどろした感じが薄いちょっと空想的な恋愛で、「作者は本当に恋したことあるのかな?」などと思ってしまいそうになりますが、なんというか純粋な恋愛が楽しめます。
(そんな作者も2005年に出産しているんですよね。知ったときはなぜかちょっとショックでした。そしてそれ以降もシビアな作品を描き続けている)

 ただ、私はこの作品の結末の付け方がちょっと気に入っていませんでした。「人魚姫」をモチーフにしているから「奇跡」を結末に持ってくるのは分かるのですが、ちょっとご都合主義的ではないか、と。個人的には、最後まで綺麗に纏まっている「22XX」なんかの方が好きです。

 と、思っていたのですが、今回読み返して、この結末はこの結末で良いんじゃないか、と思い直しました。特に、これを「ご都合主義的」と言うのはちょっと違うんじゃないかと。奇跡が起きて都合の良い未来になったというのでなく、悲劇的な未来もありえた中で、一つ上手くいった未来がマンガ中では描かれた……という多世界解釈的な感覚で読むのが良いのかな、と思いました。

 清水先生は、世界や自然のシビアさを人為的に解釈してしまったりせず、そのまま受け入れ描いているような印象があります。「月の子」も、改めて見直すと自然な展開、結末と言っていいかもしれない。昔の私は素直に読めていなかったのかなぁ。

 なお、「秘密」も良い作品だと思いますが、人間ばかり描いている印象で、世界や自然を描いていると感じる部分が少ないのがちょっと不満。「ジャック&エレナシリーズ」あたりの方が読み返しやすいです。

2016年10月7日金曜日

「ラストゲーム」完結

 少女漫画に飢えていた数年前、友人から勧められ読み始めた「ラストゲーム」が完結、最終巻が発売されました!
 

 最後まで飽きずに読めました。読んで良かったです。
 でも、序盤~中盤の方が好きだったかな、というのが正直なところ。バトル(題名の「ゲーム」は読んでない人に説明するなら「バトル」の方が適切そう)のような恋愛関係がなかなか進展せず、じりじりと話が進むのは読んでいてドキドキしました。

 ので、本人たちの気持ちはともかく周囲には両想いが明白になり、応援する空気になっていってからは、ちょっと焦燥感がなくなっちゃったかな。読者としては、最初から「早くくっついちゃえ!」と思って読むと思いますが、だんだん、応援する必要もないかな……って。
 なので、そうなってから長く引っ張らなかったのは正解だったと思います。結婚するところまでみたいと思っている間に完結したと思うので。


 これが完結したので、今私が読んでいる少女漫画は「ちはやふる」「うそカノ」くらいになっちゃう……。もう少し読みたいな。

2016年6月11日土曜日

「リュウの道」と「イズァローン伝説」

 石森章太郎の「リュウの道」を読んだ。
 石森章太郎は竹宮惠子が最も影響を受けたと公言している漫画家だ。しかし、二人の代表作「サイボーグ009」と「風と木の詩」を取り上げてもあまり共通点は見られない。これは選んだ作品が不味かったせいとも言えないだろう。人物の描き方や吹き出しの描き方などを見れば似ている点は散見されるが、これは時代的な理由も大きい。そこまで影響があったのだろうか? と思った人も多いのではないだろうか。

 だが今回、私ははじめて「リュウの道」を読み、これは確かに竹宮惠子のSF作品の下地になっていると感じた。浅薄な類似点から見るならば、地球や宇宙の描き方・使い方だ。竹宮惠子の「地球へ…」「イズァローン伝説」などに見られる地球の使い方は「リュウの道」とかなり似ていると思う。

 「リュウの道」という作品は、その時代性もあり、かなり大味な作品である。SFを切り口として、人類や宇宙全体の問題を語り、最終的に神話もしくは全体小説(全体漫画というべきか)のようになる……というのは、当時のSFではままある描き方だった。当時の作品を見ると、核戦争や環境問題を題材にしたものがたくさんある。この作品はあまり迂回路を行かず直截にその問題へ至っている。このような大きな問題を語るには過程を省きすぎているのではないかという気もするが、少年漫画らしく勢いがあって面白い。

 竹宮惠子はこのような全体小説のようなストーリーを描く作家ではない。むしろ、私的な物語を客観的に描くことを好む漫画家だ。「地球へ…」や「イズァローン伝説」は一種の神話を描いた作品ではあるが、人類へ問題提起するようなことはない。客観的に、一つの神話を描き切っている。

 このような違いはあるが、「リュウの道」と「イズァローン伝説」で描かれている神話はかなり似た質を持っていると思う。神話なんてどれも似るではないかといえばそれまでだが、これらの作品では人間の情を中心に据えているのだ。そんなの、手塚治虫だって光瀬龍だってそうじゃないか……と言われればそうかもしれない。だが、彼らほどSF的ではないのが特徴だと思う。SFというのは科学であり、論理を重視する文学だ。しかし、重要な部分でそれが緩む(矛盾するわけではない)のが良し悪しはともかく特徴かもしれない。
(ファンタジーである「イズァローン伝説」をSF作品と比較するのはおかしいと言われそうだが、「イズァローン伝説は」ハードなファンタジーであり、御都合主義で進むような話ではない。)

 そういえば、これは萩尾と竹宮を比較する上でもよく言われる点だった。竹宮惠子も「地球へ…」などのSF作品を描いているのに、SF界では萩尾ほど評価されていない。その理由の一つはこのあたりだろう。

 そして、結末。「リュウの道」と「イズァローン伝説」は似たような結末を迎える。どちらも、必然性のある結末とはいえず、二人の神話観がここに現れているようにも見えた。

 この二人の師弟関係をはじめて認識させられたような気がしたので、書き留めておきます。

2016年4月25日月曜日

「パタリロ!」96巻

 「パタリロ!」最新刊である96巻を購入、読みました。

今なら、

 「翔んで埼玉」が大ヒット中の魔夜峰央の新刊!

と書くのが普通なのかもしれないけれど、「パタリロ!」だけでなく他の魔夜峰央作品もほぼ全て読んでいる生粋の魔夜峰央ファンの自分として、はこの書き方は違和感がある。だって、大御所ですよ! 「パタリロ!」は連載誌を色々と移しながらですが、もうすぐ100巻に達しようという作品。誰でも知っていて欲しい、読んでいてほしい漫画だと思うのですが……実際は今回の「翔んで埼玉」のブームで魔夜峰央を知った人も多いんでしょうね。
 ただ、まあ、「翔んで埼玉」は連載途中で終わってしまった作品ですが、初期~中期の良い頃の魔夜峰央らしさが強く出ている作品だし、魔夜峰央の代表作とは思わないけれど、魔夜峰央を知る切っ掛けとしてはとても良い作品なので、今回のブームは凄く嬉しいです。これを機に「パタリロ!」がまた盛り上がったりしたら嬉しいなぁ。


 さて。
 こちらは魔夜峰央の本当の代表作であり、最長作品である「パタリロ!」ですが……。ここ十巻くらいは残念な出来になっていることは否めません。いや、初期しか認めないっていう人も結構いるようだし、好みは分かれると思うんですが、75巻あたりまでは私は十分面白く読んでいた。しかし、その後だんだんギャグがトーンダウンしていき、主要キャラの絵(特に、バンコランやマライヒ)がイマイチになり……。今作も手放しで褒めるわけにはいかないよう。つまらないとは言い切れないけれど、ギャグマンガというより教訓話みたいになっている回が増えてきたのも残念。

 同時期に連載していた「プリコロ」シリーズは結構面白かったんですけどね。ただ、「パタリロ!」でも同じネタをやるようになったのはちょっと。同じネタをするにしても、パタリロは本当の名探偵なのだから、プリコロとは差を出して欲しいなぁ。



 ところで、単行本の帯を見ると、「2016年5月より無料Webサイト「花LaLa online」へお引越し」とあります。


ここですかね。
 Twitterもしばらく更新していない作者に、インターネット特有の刺激があると良いなぁ。そしてまた、「パタリロ!」に活気が戻ることを祈っています。